大山咋神(オオヤマクイノカミ)オオヤマクイ

大山に杭(咋)を打つ神「大きな山の所有者」を意味し、比叡山(日枝山)の守護神として古くから信仰されている。全国の日枝神社の主祭神。「松尾様」とも呼ばれ、酒神として酒造関係者などから崇敬されている。

系譜
大年神(オオトシ)の子。
別名・異称
山末之大主神、日吉山王権現、松尾様、鳴鏑神
神格・神徳
比叡山の地主神、酒造の神、産業繁栄、子孫繁栄、酒造の守護
おもな神社
日吉大社(滋賀県大津市)、松尾大社(京都市西京区)、各地の日枝神社・松尾神社

菊理媛神(ククリヒメノミコト)ククリヒメ

加賀の白山や全国の白山神社に祀られる。ククリヒメはイザナギとイザナミの喧嘩の仲裁をしたとされ、縁結びの神とされている。また、死者(イザナミ)と生者(イザナギ)の間を取り持ったことからシャーマン(巫女)の女神ではないかとも言われている。

系譜
『日本書紀』の一書に登場。
別名・異称
菊理媛命、菊理姫命、白山比咩神
神格・神徳
白山の神、縁結び
おもな神社
白山比咩神社、各地の白山神社

櫛名田比売(クシナダヒメ)クシナダヒメ

ヤマタノオロチ退治の説話で登場する。ヤマタノオロチの生贄にされそうになっていたところ、スサノオはアシナヅチ・テナヅチと、クシナダヒメを妻として迎えるという約束を交わした。そして、スサノオはクシナダヒメを櫛に姿に変え、その櫛を頭に挿してヤマタノオロチを退治したとされる。

系譜
アシナヅチ・テナヅチの8人の娘の中で最後の娘。
別名・異称
稲田姫(イナダヒメ)、奇稲田姫(クシイナダヒメ)、久志伊奈太美等与麻奴良比売命(クシイナダミトヨマヌラヒメ)
神格・神徳
豊穣の神、稲の神、五穀豊穣、縁結び、夫婦和合
おもな神社
廣峯神社(兵庫県姫路市)、氷川神社(さいたま市大宮区)ほか各地の氷川神社、須佐神社(島根県出雲市)、八重垣神社(島根県松江市)

事解之男命(コトサカノオノミコト)コトサカノオ

イザナギが黄泉国のイザナミをおとずれたときに変わり果てた姿を見ないでほしいと言われたが、イザナギはその姿をみてしまい、離縁することになった。その約束を固めるためにはいた唾から生まれた神が、速玉之男神(ハヤタマノオノカミ)で、次に掃きはらって生まれた神とされる。掃きはらったことで、事物を明らかにし事態を収拾させる神と言われている。

系譜
『日本書紀』に登場する神で、イザナギの吐いた唾からうまれた。
別名・異称
事解之男神(コトサカノオノカミ)、泉津事解之男神(ヨモツコトサカノオノカミ)、豫母津事解之男神(ヨモツコトサカノオノカミ)
おもな神社
王子神社(東京都北区)、須賀神社(東京都武蔵村山市)、全国の熊野神社のいくつか

木花咲耶姫(コノハナノサクヤビメ)コノハナノサクヤビメ

大いなる山の神であった父のオオヤマツミの娘のコノハナノサクヤビメはニニギノミコトの子を身ごもったが、自分の子ではないとの疑いを持たれ、その疑念を晴らするため産屋に火を放ち、燃えさかる産屋で御子を産んだという説話から火の神とされ、日本一の活火山・富士山の噴火を鎮めるため、総本社の「富士山本宮浅間大社」にをはじめとする、各地の浅間神社の祭神として祀られている。妻の守護神、安産の神、子育ての神としても広く信仰されている。

系譜
天照大神(アマテラスオオミカミ)の孫である邇邇芸命(ニニギノミコト)の妻。また、大山祇神(オオヤマツミノカミ)の娘で、姉に石長比売(イワナガヒメ)を持つ。
別名・異称
木花之佐久夜毘売、木花開耶姫、鹿葦津姫、葦津姫
神格・神徳
火の神、妻の守護神、安産の神、子育ての神
おもな神社
富士山本宮浅間大社、各地の浅間神社、箱根神社

少名毘古那命(スクナビコノミコト)スクナビコ

オオクニヌシの国造りに際し、天乃羅摩船(アメノカガミノフネ)(=ガガイモのサヤ)に乗って現れ、国造りに参加した。その後、常世国へと渡り去ったとされる。

系譜
『古事記』では神皇産霊神(かみむすびのかみ)の子、『日本書紀』では高皇産霊神(たかみむすびのかみ)の子とされる。

別名・異称
少名彦(スクナヒコ)、須久那美迦微(スクナビコノカミ)
神格・神徳
国造りの協力神、常世の神、医薬の神、温泉の神
おもな神社
各地の少彦名神社、神田神社(東京都千代田区)、湯神社(愛媛県松山市)、酒列磯前神社(茨城県ひたちなか市)

須佐之男命(スサノオノミコト)スサノオ

黄泉の国から戻った伊弉諾尊(イザナギ)が禊を行ったときに鼻から生まれた男神。
イザナギに海原の統治を託されたが、母に会いたいと泣き叫び、イザナギに見捨てられる。その後、高天原に上り雨岩戸事件を引き起こし、その責任をとって高天原を追放され地上へ下る。そこで、櫛名田比売(クシナダ)を救うため八岐大蛇を退治し「英雄神」となった。

系譜
父神:伊弉諾尊(イザナギ)
姉神:天照大神(アマテラス)
兄神:月読命(ツクヨミ)
子孫:大国主命(オオクニヌシ)
別名・異称
素戔男尊、素戔嗚尊、建速須佐之男命、須佐乃袁尊
神格・神徳
厄除けの神、農業の神、穀物の神
おもな神社
須佐神社(島根県出雲市)、八坂神社(京都市東山区)、廣峯神社(兵庫県姫路市)、津島神社(愛知県津島市)、氷川神社(さいたま市大宮区)

豊宇気毘売神(トヨウケビメ)トヨウケビメ

天照大御神(アマテラス)の食物をつかさどる神。第21代雄略天皇の夢枕にアマテラスが現れ、「自分一人では食事が安らかにできないので、丹波国のにいる御饌の神・豊受大神(トヨウケノオオカミ)を呼び寄せなさい」と言われ、伊勢の山田原に社を建て、丹波国から遷宮させたとされている。他の食物神の大気都比売(オホゲツヒメ)・保食神(ウケモチノカミ)などと同様に、倉稲魂命(ウカノミタマ)と同一視(諸説あり)される。

系譜
『古事記』にてイザナミの尿から生まれた神。
別名・異称
豊受大神(トヨウケノオオカミ)、豊受気媛神(トヨウケヒメノカミ)、登由宇気神(トユウケノカミ)、大物忌神(オオモノイミノカミ)
神格・神徳
食物の神、穀物の神
おもな神社
伊勢神宮外宮(三重県伊勢市)、比沼麻奈為神社(京都府京丹後市)、奈具神社(京都府宮津市)、籠神社(京都府宮津市)